私と私の股関節ちゃんとくつ
お久しぶりです。
私と靴の戦いは長い。
物心ついた時から股関節が悪いので、足が悪い=履きやすい靴を選ばなければならなかった。
子供のときは装具をつけていたし。
ゆえに装具が入るやつ=ださいズックしかなかった。
私は昔からとにかくズックが嫌い。
ていうかスポーツが嫌い。出来ないから。出来ないものを好きになる人っている?
だからスポーツで活躍するズックも嫌い。スポーツが出来ないくせにズックを履かなきゃいけないのも嫌い。
ちまたのお姉さんが履いている、たっかいヒール、厚底、パンプス、ミュールみたいのが履きたかった。
大人になってから、履きたすぎて無理矢理履いたりもしてたけど、やはり足の状態が悪くなり、ずっと履いていられない。
だが今回手術をしたのだから、念願の靴たちがちゃんと履ける。そう思って就職してからオフィスカジュアルに合わせてパンプスを履いていた。
しかし現実は厳しい。パンプスでの通勤は、まだ完全に可動域をゲットしていない股関節、筋力不足の体幹と足に、過大な負荷をかけ、歩くたびに痛みが増してゆき足は死んだ。
リハビリに通っている整形外科に相談したところ、オーダーメイドでインソールを作ってもらうことにした。
それに先駆けて柔道整復師が私の足をテーピングした。
めっちゃラク。
反り返ってうまく地面をつかめない足指、ぺんぎんみたいにぺたぺたあるく扁平足がテープの力によって正常な位置を獲得し、肩や背中のハリはゆるみ、歩行スピードが上がり、しゃがんでから立つという動作が全くできなかったのに出来るようになった。
今すぐインソールを作ってください!!!
と言ったら、柔道整復師は気まずい顔をしながら
「インソールはパンプスに入れれません」
と言った。
は・・・はは・・・・
と力なく笑う。
パンプスは私の中で私が健康になった象徴だったが、それが瓦解した。
健康な私はハツラツとユニクロとかなんかイオンによくある店においてあるやつで身を包み、しゅっとしたパンプスを履いて客先に出向く。走ったりはまだ出来ないけど、最近の私は健康に働く普通の女になったつもりになっていた。
なんでもパンプスは備え付けのインソールがはがせないから、医療用インソールはインできないらしい。私と同じ病気でこれから医療用インソール作ろうと思っている人はこれだけ覚えて帰ってください。
「出来ればズックを買って来てください」と柔道整復師が言う。
ズック、またお前か。
お前なんかこの世に存在しなければよかったのに。そしたらパンプスにはがせるインソールが備え付けられる世界だって来たはずだ。スポーツ選手もみんなパンプスで訓練してろ。もう知らんわ。スポーツなんてやめろ。
落胆する私に「パンプスっぽい運動靴みたいな作りのやつも売ってるよ!」と声をかけてくれる医療関係者。嬉しいが、ちゃんとしたみんなが履いてるようなパンプスじゃなきゃ私の健康は象徴されないのだ。
私は自分がまだ治っていないことを深く痛感した。これから足が疲れた時は優先席に座らせてもらおう。
街に出ると、色々な靴が売っていた。
さっきまでインソールさえインすれば、これからどんな靴でも履けると思っていた自分が悲しい。
かっこいいサンダル、ヒール、パンプス、ブーティ、みんな燃えてしまえばいい。私はせめてもの抵抗に、好きなブランドのコンバースっぽい靴を手に取って試着し、レジに持って行った。
通勤にはこのスニーカーを使う事にした。靴の中で足指が開いて前よりは歩きやすい。これから通勤はこれで、仕事中はさすがにこういう靴はアレなので職場におきっぱなしにしてるパンプスに履き替えようと思う。
私の股関節ちゃんとの戦いはまだまだ続く。